会社の代休を利用して、芋焼酎の蔵を見学に。
霧島の名水と、有機米・有機芋を使い、甕壷で
手作りで仕込む蔵「万膳酒造」を訪問。
空港からレンタカーで約20分くらいだろか。霧島神宮に向かう山道を走る。
道が狭く細く続く。本当にこの道で良かったのだっけ?と不安になり始めた頃、
蔵の看板が道しるべのように見えた。そこからもう少し進み、ようやく万膳酒造
に到着。美味しい水を求めて、こんな山奥に蔵を建ててしまう、その情熱に感動する。
普通は、見学を受け付けていないのだが、特別
に蔵の作業を見学させていただく。
これが、貴重な麹米。蒸し米に黒麹菌を繁殖させる
もの。万膳酒造では、麹米を麹蓋に取り分けて、
一枚一枚丁寧に繁殖させるのだが、一定の温度に保つ
ために、麹米を様々な形に盛り付け、温度の高低に
対応する。とてもデリケートな作業で、気が遠くなる。
蔵人達は、黙々と麹蓋の切り替えし作業を繰り返す。
温度が変化する度に、真夜中でも対応するので、
まるで育児をしているようだ。まさに、麹は生きていて、
それを手作りで育てているのだ。
丸一日、麹室の中で大切に繁殖させられた麹米は、甕壷に移され、水と酵母で発酵させる。
そして、発酵が進むと、蒸した芋を砕いて掛け合わせ、二次発酵をさせる。
一次もろみは、酸のすっぱい香りがし、二次もろみは、バナナのような、甘い香りが漂う。
もろみが発酵するピチピチという音が、静かな蔵の中に響き、まるで池で魚が跳ねているようだ。
この発酵段階でも、温度管理は徹底されていて、
水を流して冷却する蛇管を入れたり出したりして
いて、気が休まることがないようだ。
こうして大切に手作業で発酵させたもろみは、
この木桶蒸留器で蒸留されるのであった。
万膳酒造が木桶蒸留器にこだわるのは、優しい味に
こだわるからなのだが、蒸留器の管理に大変なコスト
と労力がかかる。
このように、気が遠くなるような作業を経て、
蒸留された芋焼酎が垂れるのであった。
まさに、魂の雫とでも言おうか、感無量である。
毎年、万膳酒造の方々が、手作りで入魂の芋焼酎
を仕込む。小生は、「萬膳」を口にするたびに、
蔵人達の情熱に思いを馳せずにはいられないのだ。