蔵での仕事が終わると、飲ん方(飲み会)が始まった。
東京から来た小生のような者にまで、かくもありがたい歓迎を。。。
蔵での蒸留したての「萬膳」は、蒸留したばかりとは思えぬほど、やわらかくて飲み易い。
今年の芋は、とても出来がいいそうだ。
続いて、万膳酒造・白麹造りの銘酒「真鶴」をお湯割で戴く。
グラスは、兵庫の陶芸家・辻村史郎先生の作品。
銘酒には、いい器が良く合う。
万膳さんが造る芋焼酎は、どれも輪郭がハッキリとしていて、中身が濃いのが特徴だ。
手造りで丹精に造られたお酒は、お湯割りにすると、とても優しい味わいになる。
長火鉢で、万膳さんが栽培している椎茸を焼いて、それを戴く。
窓の下からは、川のせせらぎが聞こえてきて、とても静かだ。
『古酒 げってん』(米焼酎・大分・旭酒造・昭和33年製造)
酔いが進むにつれ、何だか陽気な気分になってきて、万膳さんもどんどんお酒を進めてくださる。
これは、大分の「耶馬美人」という米焼酎の古酒。47年モノだ。
ブランデーのような味わいだが、柔らかくてサラサラと舌の上を滑っていくようであった。
『FINE BOURGOGNE 1979』
(ブランデー・フランス・ドメーヌ ド ラ ロマネ・コンティ)
これは、ロマネ・コンティのブランデーという、非常に珍しいもの。
日本には、ごく限られた数量しか輸入されていないらしい。
これまた感動で、何を飲んでいるのか理解するのに時間がかかってしまう。
舌の上をサラサラと滑るような感覚だけ、覚えている。
霧島山中で、何とも素晴しい夜が過ぎていく。
杜氏さんは、夜中も定期的に、麹ともろみの温度を蔵にチェックしに行くので、
できるだけ静かに飲んでいたのだが、声が大きくなっていなかったか、心配になる。
こうして、楽しかった夜が過ぎ、朝5時からの蔵の仕事が始まる。
外はまだ、星空が広がっている。
楽しくも、温かい蔵人達に元気をもらって帰路についた。